2022年1月26日
ケース10 上顎大臼歯 再根管治療
※症例紹介の情報は、すべて患者様に許可を得た上で掲載しております。
今回の症例
【術前に根尖に大きな膿の袋(黒い影)があった症例。以前他院で根管治療した歯が
治癒不全に陥っていた。治療介入後、時間の経過とともに膿の袋が縮小していった状況を
ご覧になってください】
40代 女性
主訴「左上奥歯が痛い。」
部位:左上7
歯髄診断名 :Previously treated
根尖部診断名: Symptomatic apical periodontitis
治療法:Retreatment
初診時のレントゲン写真
左上7の根尖に大きな膿の袋(黒い影)が見られる。
① 根管治療開始。
② レジンコアで支台築造。
③ 仮歯の装着。
術後3ヶ月。
根尖の膿の袋(黒い影)が小さくなってきているのが分かる。
ただし、まだ完全には消失していない。
術後1年6ヶ月。
ほとんど根尖の膿の袋(黒い影)は消失している。
引き続き経過良好。
術後2年6ヶ月。
左上7の歯槽硬線の明瞭化が確認できる。
根尖の膿の袋(黒い影)は完全に消失した。
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・再根管治療(大臼歯) ¥143,000(税込)
・レジンコア ¥11,000(税込)
・検診料 ¥1,100(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約1〜2週間
<治療回数> 根管治療2回
今回の治療の利点・欠点
利点
・歯の保存ができる。
・欠損補綴が回避できる。
欠点
・治療による偶発症(器具破折、アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)。
院長 白瀬 浩太郎
しらせデンタルクリニック
〒520-0832 滋賀県大津市粟津町17番39号 style II 1F
〜 科学的根拠(エビデンス)に基づいた世界標準の根管治療を 〜
「歯が痛い、歯茎が張れる、深い虫歯、神経を残す治療、神経を抜く治療、根の治療 、
膿の袋の治療、歯根嚢胞の治療、歯の移植」等でお悩みの方は【しらせデンタルクリニック】まで
お問い合わせください。
2021年9月30日
ケース9 下顎小臼歯 意図的再植
※症例紹介の情報は、すべて患者様に許可を得た上で掲載しております。
40代 男性
主訴「右下の歯の歯茎が何度も腫れる。他院では抜歯宣告を受けた。なんとか残せないか。」
部位:右下5
歯髄診断名 :Previously treated
根尖部診断名: Symptomatic apical periodontitis
治療法:再根管治療 Retreatment
初診時のレントゲン写真
右下5の根尖に大きな膿の袋(黒い影)が見られる。
太い金属ポストが入っている。
根管治療開始。
超音波チップを用いて、歯牙破折しないように慎重に金属ポストを除去。
その後、隔壁を作成してラバーダム防湿をしてからガッタパーチャを除去。
拡大、洗浄、最後に貼薬を行い、1回目の根管治療を終了。
治療2回目の時に、バイオセラミック系のシーラーを用いて根管充填、ファイバーポストを用いて支台築造。
これらもすべてラバーダム防湿下で行った。
3ヶ月後にレントゲン撮影を行い、根尖の膿の袋(黒い影)の縮小を確認予定だったが、
それを待たずして前回の根管治療終了後から2週間後に歯茎の腫れを訴えられた。
根管治療のみで原因である細菌や感染物質を除去することを達成できなかったため、
意図的再植の介入を決断。術前に説明はしていたが、再度内容等を患者に説明し同意を得る。
(歯根端切除術はオトガイ孔が右下5の根尖に近いことから、神経麻痺のリスクを考慮し回避。)
歯牙破折しないように、ダイヤモンドコーティングされた鉗子を用いて慎重に時間をかけて抜歯をした。
マイクロスコープ下で根尖部の切除。
根管治療では取り除けない細菌や感染物質は根尖から3mmまでのところに約90%集中するのと、
もとの歯根の長さを考慮し根尖部から2mmまでのところを切断。
マイクロスコープ下で、超音波チップを用いて逆根管形成。
マイクロスコープ下でMTAを用いて逆根管充填。
意図的再植直後のレントゲン写真。
術後3ヶ月のレントゲン写真。
根尖の膿の袋(黒い影)の縮小し、
徐々に膿の袋が周りの組織に吸収され骨に置き換わっているのがわかる。
症状や歯の揺れ(動揺)などなく、経過良好と判断。
紹介先の主治医へ被せ物の型取りを依頼。当院でも引き続き経過観察を行う予定。
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・再根管治療(前歯部) ¥134,000(税込)
・ファイバーポストコア ¥11,000(税込)
・歯根端切除術 ¥55,000(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約2〜3週間
<治療回数> 根管治療2回 歯根端切除術1回
今回の治療の利点・欠点
利点
・歯の保存。
・欠損補綴の回避。
欠点
・治療による偶発症(器具破折、アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)。
コメント
・今回のケースはまず根管治療を行う上で、太い金属ポストを除去する際の歯根破折のリスク、
そしてもし根管治療で治らなかった時の意図的再植時の抜歯の時の歯根破折のリスクがあり、
歯の保存不可と隣り合わせの治療行為が何度かあった。
無事、歯は割れることなく、治癒に導くことができた。
もしこの歯が抜歯となった場合、隣の歯はインプラントのため、
天然歯とインプラントはブリッジできないことから、
抜いたところに歯を入れる選択肢が入れ歯かインプラントに限定されてしまう。
今回、術前のリスクをしっかりとお聞きになられた上で治療介入をされるという
勇気ある決断をされた患者様の期待にこたえることができて本当によかったです。
院長 白瀬 浩太郎
しらせデンタルクリニック
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2021年9月1日
ケース8 上顎前歯部 歯根端切除術
※症例紹介の情報は、すべて患者様に許可を得た上で掲載しております。
20代 女性
主訴「上の前歯がずっと前から腫れている。」
部位:右上1
歯髄診断名 :Previously treated
根尖部診断名: Symptomatic apical periodontitis
治療法:再根管治療 retreatment
右上1の根尖に大きな黒い影(膿の袋)が見られ、
根尖部は破壊されており根管充填剤(ガッタパーチャ)が溢出している。
根管治療開始。
根尖孔外に溢出していたガッタパーチャの除去。
2回目の治療時にMTAを用いて根管充填。
ラバーダム防湿下でファイバーポストコア築造。
1週間後の経過確認時に瘻孔の消失が見られず、歯根端切除術の介入を決断。
瘻孔(歯茎にできるプツッとした出来物)は治癒不全のサインです。
通常であれば、根管充填時には瘻孔はたいてい消失しています。
根管充填後も瘻孔があれば、ほとんどの場合、どれだけ期間をおいて待っても瘻孔は消失しません。
たとえ消えたとしても一時的なもので、ずっと腫れたり引いたりをくり返します。
瘻孔は根尖部で溜まった膿が歯茎を突き破って出てきた出口なので、
瘻孔が消えていない=根尖部の炎症が収まっていない、となります。
嚢胞摘出および根切除。
マイクロスコープを用いて、切断面の診査。
感染物の取り残しがないか最終確認。
術直後。
術後3ヶ月。
根尖部の透過像の縮小を確認。
膿の袋の部分は骨組織に置き換わっている。
瘻孔の消失。不快症状等なし。経過良好と判断。
かかりつけ歯科医院での最終補綴処置を依頼。
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・再根管治療(前歯部) ¥121,000(税込)
・ファイバーポストコア ¥11,000(税込)
・歯根端切除術 ¥55,000(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約2〜3週間
<治療回数> 根管治療2回 歯根端切除術1回
今回の治療の利点・欠点
利点
・歯の保存。
・欠損補綴の回避。
欠点
・治療による偶発症(器具破折、アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)。
コメント
・抜歯か保存か判断が難しい症例でした。
抜歯してインプラントを選択した場合、抜歯により歯肉顎堤は大きく陥没し、
インプラントを行う前の骨造成は必須になります。
根尖部はかなりダメージを受けていましたが、
根拠に基づいた根管治療と歯根端切除術を行うことにより、
根尖病変を治癒させることができ、保存に導けました。
今後も慎重に経過観察していく予定です。
院長 白瀬 浩太郎
しらせデンタルクリニック
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2021年7月29日
ケース7 上顎大臼歯 再根管治療
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40代 女性
主訴「右上がズキズキして痛い。」
部位:右上7
歯髄診断名 :Previously treated
根尖部診断名: Symptomatic apical periodontitis
治療法:再根管治療 retreatment
術前レントゲン写真。
右上7の根尖に大きな黒い影(膿の袋)が見られる。
根管治療開始。
金属の土台を慎重に外す。
土台を外すと中から腐敗臭がし、根管内は多くの感染物質で満たされていた。
拡大、洗浄後。
根管内に最終的な薬(バイオセラミック系)を充填。
その後、歯の補強処置。
ラバーダム防湿下でファイバーポストコア築造。
術後。
術後4ヶ月。
術後10ヶ月。
上顎の場合はその解剖学的構造から、下顎に比べて治癒傾向が観察しにくいが
根尖周囲の黒い影は少しずつ白くなっている。
膿の袋が周囲組織に吸収され、新たに骨に置き換わってきていると考えられる。
また、根尖の輪郭(歯槽硬線)の明瞭化も確認できる。
普段の痛み、打診痛、瘻孔などもなし。経過良好。
紹介先のかかりつけ歯科医院での最終補綴処置を依頼。
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・再根管治療(大臼歯部) ¥143,000(税込)
・ファイバーポストコア ¥11,000(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約1〜2週間
<治療回数> 2回
今回の治療の利点・欠点
利点
・歯の保存ができる。
・欠損補綴の回避。
欠点
・再根管治療による偶発症(器具破折、アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)のリスク
コメント
・今回のようにレントゲンで大きな膿の袋(黒い影)が見られても、無菌的処置の原則に基づいた根管治療を行えば、80%は治癒します。もし治癒不全であればセカンドステップとして意図的再植を行います。意図的再植の成功率は80%です(文献上)。つまり、トータルとして90%以上の確率で治癒させることが可能です。
院長 白瀬 浩太郎
しらせデンタルクリニック
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2021年5月11日
ケース6 歯根端切除術(前歯部)①
※症例紹介の情報は、すべて患者様に許可を得た上で掲載しております。
60代 女性
主訴「昔に根管治療した歯の歯茎を抑えると痛い。」
病名(左上3)
歯髄診断名:Previously treated
根尖部診断名:Symptomatic apical periodontitis
治療法:歯根端切除術(apicoectomy)
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・歯根端切除術(前歯部) ¥121,000(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約1週間
<治療回数> 1回
歯根端切除術
利点
・歯牙の保存ができる。欠損補綴の回避(もしこの左上3が抜歯となると、ロングスパンブリッジか
またはインプラントが想定される)。
・自費のブリッジを外すことなく対応できる。
欠点
・歯根端切除術による偶発症(アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)のリスク
コメント
・通常、最初から外科的歯内療法(歯根端切除術)を行うことはほとんどありません。
まずは通常の根管治療を試みて、根の病変が治るのかを確認します。
ただし、今回の症例は、太い土台(コア)を除去する際の歯根破折のリスクを考慮し、
再根管治療は行わず最初から歯根端切除術を選択しました。
術後の経過もよく、少ない治療回数で自費のブリッジも外すことなく、
患者様の主訴を解決できてよかったです。
院長 白瀬 浩太郎
しらせデンタルクリニック
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2021年4月26日
ケース5 意図的再植(大臼歯)
※症例紹介の情報は、患者様に許可を得た上で掲載しております。
60代 女性
主訴「左上奥歯の歯茎(はぐき)が腫れている。その周囲に鈍痛がある。」
左上7
病名
歯髄診断名:Previously treated
根尖部診断名:Symptomatic apical periodontitis with sinus tract
治療法:根管治療、意図的再植
術前。唇側歯肉に膿瘍、sinus tractが確認できる。
歯牙を一旦抜歯し、口腔外で根尖部を3mm切断。メチレンブルー染色液にて染め出し。
マイクロスコープの高倍率下で、破折線や感染物質の取り残しがないか確認。
逆根管形成後、MTAを用い逆根管充填。抜歯窩に戻し、縫合。
唇側歯肉にあった膿瘍とsinus tractの消失。
経過良好と判断。
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・根管治療(大臼歯) ¥143,000(税込)
・レジンコア ¥5,500(税込)
・意図的再植 ¥55,000(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約4週間
<治療回数> 3回
利点
・歯牙の保存ができる。欠損補綴の回避。
欠点
・根管治療おによる偶発症(アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)のリスク
コメント
・再根管治療は、たとえ世界標準の根管治療を行っても、歯牙の状態によってその成功率は40%〜80%
と幅があります。根管本来の形が大きく損なわれ、かつ根尖部に透過像がある症例では、
その成功率は40%であると報告されています。Gorni FGM.JOE.2004.
再根管治療で治らない場合、外科的歯内療法になります。
再根管治療を行うにあたって、必ず患者様に外科的歯内療法の可能性について説明しております。
外科的歯内療法には、「歯根端切除術」と「意図的再植」があり、
それぞれ、成功率はおおよそ歯根端切除術90%、意図的再植80%です。Setzer FC, et ai.J Endod.2010
第二大臼歯はその解剖学的理由から、歯根端切除術は適用できません。
意図的再植は一度歯を抜くため、抜歯窩にお戻した後、歯根が吸収したり骨と置換したりする
リスクがあります。
今回無事に意図的再植によって根尖性歯周炎の治癒が確認できて安心しました。
今後も引き続き経過観察していき予定です。
院長 白瀬 浩太郎
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2021年4月18日
ケース4 感染根管治療(大臼歯)
※症例紹介の情報は、患者様に許可を得た上で掲載しております。
30代 男性
主訴「右下奥歯が腫れている。深い虫歯がある。治療してほしい。」
右下7
病名
歯髄診断名:Plup necrosis
根尖部診断名:Symptomatic apical periodontitis
治療法:根管治療
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・根管治療(大臼歯) ¥121,000(税込)
・レジンコア ¥5,500(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約2週間
<治療回数> 2回
利点
・歯牙の保存ができる。欠損補綴の回避。
欠点
・根管治療おによる偶発症(アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)のリスク
コメント
・術前のレントゲン写真から、右下7の近心根周囲にに大きな透過像(黒い影)がみられます。
これは歯根周囲の炎症により、骨が吸収され「膿瘍(のうよう)」になったものです。
「膿瘍」は骨と違い、ミネラルをほとんど含まないため、レントゲン上で黒く見えます。
根管治療により歯根の中の細菌を徹底的に減らせば、
「膿瘍」は徐々に周囲の免疫細胞によって吸収され、
そしてそこには周囲の細胞によって新しい骨が新生されます。
今回のような大きな透過像(黒い影)がある歯であっても、
無菌的処置の原則に基づいた世界標準の根管治療を行うことで、
90%以上の成功率で治癒させることがきます。
引用文献
Sjogren U, et al. J Endod.1990.
Setzer FC, et ai.J Endod.2010
Gorni FGM, et al.J Endod.2004
院長 白瀬 浩太郎
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2021年4月9日
ケース3 再根管治療(樋状根)
※症例紹介の情報はすべて、患者様に許可を得た上で掲載しております。
40代 女性
主訴「右下奥歯が揺れている。鈍痛がある。」
右下7
病名
歯髄診断名:Previously treated
根尖部診断名:Symptomatic apical periodontitis
治療法:再根管治療(retreatment)
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・再根管治療(大臼歯) ¥143,000(税込)
・レジンコア ¥5,500(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約2週間
<治療回数> 2回
利点
・歯牙の保存ができる。欠損補綴の回避。
欠点
・根管治療おによる偶発症(アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)のリスク
コメント
・下顎第二大臼歯は、ときに樋状根(といじょうこん)といわれる特殊な形をしています。
通常、根管の断面はわずかな楕円形ですが、樋状根はかなり扁平な(平べったい)形をしています。
根管内の清掃器具(Ni-Tiロータリーファイル)は回転させて使用するため、その断面は構造上真円形です。樋状根と清掃器具の形状は非常に相性が悪く、そのため樋状根は通常の根管に比べて、偶発的な穿孔(パーフォレーション)が起こりやすいと報告されています。
この症例では、清掃器具(Ni-Tiロータリーファイル)で慎重に根管内を拡大行った後は、いつも以上に時間をかけて根管内洗浄(2.5%次亜塩素酸ナトリウムとEDTAによる交互洗浄と超音波活性)を行いました。
結果、術後1年後に根尖部に大きな透過像の縮小がはっきり観察され、また術前にあった歯牙の動揺や不快感などは消失し、問題なく噛めているとのことです。
かりに右下の7番目の歯を抜歯した場合、抜歯した部位に義歯かインプラントを入れないと上の歯が下にさがってきます。噛み合う上の奥歯(6番目と7番目)を連結する選択肢もありますが、連結した部分周囲の清掃性は格段に下がります。
右下7を保存することによるこれらの処置の回避は、非常に大きなメリットです。
院長 白瀬 浩太郎
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2021年3月31日
ケース2 歯根端切除術(前歯部)②
※症例紹介の情報は、すべて患者様に許可を得た上で掲載しております。
50代 男性
主訴「差し歯が取れた。昔に根管治療した歯の歯茎から膿が出てる。歯茎を抑えると痛い。
鼻の下に違和感がある。」
病名(左上1と2)
歯髄診断名:Previously treated
根尖部診断名:Symptomatic apical periodontitis with sinus tract
治療法:再根管治療(retreatment)
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・再根管治療(前歯部) ¥121,000(税込) ×2本
・ファイバーポストコア ¥11,000(税込) ×2本
・歯根端切除術(前歯部) ¥55,000(税込) ×2本
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約4週間
<治療回数> 3回
利点
・歯牙の保存ができる。欠損補綴の回避(もしこの2本抜歯となると右上3から左上3までの計6本のロングスパンブリッジかまたはインプラントが想定される)。
欠点
・根管治療および歯根端切除術による偶発症(アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、
疼痛ショック)のリスク
コメント
・術前のレントゲン写真から、左上1と2の根尖部に大きな根尖病変が確認できました。
再根管治療で治癒が見られない場合は外科介入(歯根端切除術)が必要になります。
再根管治療後も症状の改善は見られないため、歯根端切除術を行いました。
歯根端切除術は、局所麻酔を行い、歯肉を剥離して歯根の先端部を3mm(根尖病変ごと)切除する治療法です。
術後経過も良く、今は最終的な被せ物が入っています。
これだけ病変が大きいと完全にレントゲン所見から消失するまで1年以上かかることもあるので、
引き続き経過観察を行なっていく予定です。
院長 白瀬 浩太郎
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2021年3月30日
ケース1 再根管治療(前歯部)
40代 男性
主訴「他院で根管治療しているが、なかなか治らない。その歯の歯茎から膿が出てる。」
病名
歯髄診断名:Previously initiated therapy
根尖部診断名:Symptomatic apical periodontitis with sinus tract
治療法:再根管治療(retreatment)
治療費用
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・再根管治療 ¥121,000(税込)
治療期間 約2週間
治療回数 2回
利点
・歯牙の保存ができる。欠損補綴の回避。
欠点
・根管治療による偶発症のリスク
コメント
・この再根管治療(右下1)の症例は、マイクロスコープ下で根管内を確認すると、
根尖部で穿孔(パーフォレーション)していました。本来の根尖孔と、穿孔部位の位置をしっかりと
マイクロスコープ下で確認し、それぞれに適した根管充填材を充填しました。
術後速やかに膿の出口は消失し、術後5ヶ月にて根尖部透過像の消失が確認できました。
もしこの右下1を保存不可と判断し、抜歯した場合、両隣の歯を削ってブリッジ(②1①)にするのが
一般的です。ただし、ブリッジにするためには歯削って被せ物を入れるスペースを作る必要があります。
下顎前歯部はもともと歯質が薄いので、場合によっては被せ物を入れるスペースを作るために、
両隣の歯の神経を抜く「便宜抜髄」をしないと、ブリッジが出来なかった可能性があります。
隣在歯の削合を回避する手段としてインプラントもありますが、
中間欠損と言われる歯と歯の間に埋入するインプラントは高度な技術が術者に求められます。
また仮にインプラントの隣の歯が抜歯になった場合、インプラントと天然歯はブリッジできないので、
必然的にインプラントか義歯かの選択に迫られます。
たった一本の下の前歯のを抜歯するだけで、これだけ多くの複雑な治療判断をしなければならないことを
考えると、今回この一本の歯を残せたことは、その両隣の歯の健康寿命にも貢献できたこともあり、
本当によかったと思います。
院長 白瀬 浩太郎
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