ケース3 再根管治療(樋状根)
※症例紹介の情報はすべて、患者様に許可を得た上で掲載しております。
40代 女性
主訴「右下奥歯が揺れている。鈍痛がある。」
右下7
病名
歯髄診断名:Previously treated
根尖部診断名:Symptomatic apical periodontitis
治療法:再根管治療(retreatment)

術前。右下7、打診痛、動揺度2。

術後。BCシーラーを用いたシングルコーンテクニックにて根管充填。上部バックフィル後にレジンコア築造。

術後1年後。根尖部の透過像は縮小し、歯根膜腔の連続が確認できる。動揺度0。
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・再根管治療(大臼歯) ¥143,000(税込)
・レジンコア ¥5,500(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約2週間
<治療回数> 2回
利点
・歯牙の保存ができる。欠損補綴の回避。
欠点
・根管治療おによる偶発症(アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)のリスク
コメント
・下顎第二大臼歯は、ときに樋状根(といじょうこん)といわれる特殊な形をしています。
通常、根管の断面はわずかな楕円形ですが、樋状根はかなり扁平な(平べったい)形をしています。
根管内の清掃器具(Ni-Tiロータリーファイル)は回転させて使用するため、その断面は構造上真円形です。樋状根と清掃器具の形状は非常に相性が悪く、そのため樋状根は通常の根管に比べて、偶発的な穿孔(パーフォレーション)が起こりやすいと報告されています。
この症例では、清掃器具(Ni-Tiロータリーファイル)で慎重に根管内を拡大行った後は、いつも以上に時間をかけて根管内洗浄(2.5%次亜塩素酸ナトリウムとEDTAによる交互洗浄と超音波活性)を行いました。
結果、術後1年後に根尖部に大きな透過像の縮小がはっきり観察され、また術前にあった歯牙の動揺や不快感などは消失し、問題なく噛めているとのことです。
かりに右下の7番目の歯を抜歯した場合、抜歯した部位に義歯かインプラントを入れないと上の歯が下にさがってきます。噛み合う上の奥歯(6番目と7番目)を連結する選択肢もありますが、連結した部分周囲の清掃性は格段に下がります。
右下7を保存することによるこれらの処置の回避は、非常に大きなメリットです。
院長 白瀬 浩太郎
〜 科学的根拠(エビデンス)に基づいた世界標準の根管治療を 〜
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