ケース5 意図的再植(大臼歯)
※症例紹介の情報は、患者様に許可を得た上で掲載しております。
60代 女性
主訴「左上奥歯の歯茎(はぐき)が腫れている。その周囲に鈍痛がある。」
左上7
病名
歯髄診断名:Previously treated
根尖部診断名:Symptomatic apical periodontitis with sinus tract
治療法:根管治療、意図的再植

術前。左上7根尖部に透過像。
術前。唇側歯肉に膿瘍、sinus tractが確認できる。

根管治療介入後。2週間経っても依然として歯肉の膿瘍とsinus tract消失せず、外科的歯内療法(意図的再植)の介入を決断。

意図的再植術直後。
歯牙を一旦抜歯し、口腔外で根尖部を3mm切断。メチレンブルー染色液にて染め出し。
マイクロスコープの高倍率下で、破折線や感染物質の取り残しがないか確認。
逆根管形成後、MTAを用い逆根管充填。抜歯窩に戻し、縫合。

意図的再植から4ヶ月後。根尖部の透過像の縮小が確認できる。歯牙の動揺度もない。
唇側歯肉にあった膿瘍とsinus tractの消失。
経過良好と判断。
<治療費用>
・初診カウンセリング ¥5,500(税込)
・根管治療(大臼歯) ¥143,000(税込)
・レジンコア ¥5,500(税込)
・意図的再植 ¥55,000(税込)
※被せ物の費用は含まれていません。
<治療期間> 約4週間
<治療回数> 3回
利点
・歯牙の保存ができる。欠損補綴の回避。
欠点
・根管治療おによる偶発症(アレルギー反応、口唇や歯茎の損傷、疼痛ショック)のリスク
コメント
・再根管治療は、たとえ世界標準の根管治療を行っても、歯牙の状態によってその成功率は40%〜80%
と幅があります。根管本来の形が大きく損なわれ、かつ根尖部に透過像がある症例では、
その成功率は40%であると報告されています。Gorni FGM.JOE.2004.
再根管治療で治らない場合、外科的歯内療法になります。
再根管治療を行うにあたって、必ず患者様に外科的歯内療法の可能性について説明しております。
外科的歯内療法には、「歯根端切除術」と「意図的再植」があり、
それぞれ、成功率はおおよそ歯根端切除術90%、意図的再植80%です。Setzer FC, et ai.J Endod.2010
第二大臼歯はその解剖学的理由から、歯根端切除術は適用できません。
意図的再植は一度歯を抜くため、抜歯窩にお戻した後、歯根が吸収したり骨と置換したりする
リスクがあります。
今回無事に意図的再植によって根尖性歯周炎の治癒が確認できて安心しました。
今後も引き続き経過観察していき予定です。
院長 白瀬 浩太郎
〜 科学的根拠(エビデンス)に基づいた世界標準の根管治療を 〜
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