コラム|滋賀県大津市で歯内療法・根管治療専門の歯科医院をお探しの方はしらせデンタルクリニックまで

FAX.077-533-5158

〒520-0832
滋賀県大津市粟津町17番39号 styleⅡ1F

診療時間 日・祝
10:00-13:00
14:00-18:00

休診日:木曜・日曜・祝日 ★:土曜は9:00~15:00

  • 地図
  • メニュー

2021年5月18日

歯を削るまえの大切な検査

【しらせデンタルクリニック】院長の白瀬浩太郎です。

今回は歯を削る前に必ず行う大切な検査、「歯髄検査」について書きます。

 

目次

・歯髄検査とは?

・歯髄検査をする理由

・歯髄検査の大切さを痛感した症例

・最後に

 

 

歯髄検査とは?

 

歯髄検査とは、主に2つの刺激を歯の表面に直接与えて、

歯の神経の反応をみる検査のことをいいます。

 

その2つ刺激とは、「冷たい刺激」と「電気刺激」です。

 

          

 

 

 

歯が健全な場合は、

冷たい刺激では、少ししみる

電気刺激では、一瞬「ピリッ」と感じる

と決まっています。

 

 

異常がある場合は、

冷たい刺激で長くしみる、もしくは反応がない

電気刺激で反応がない

となっています。

 

この二つの刺激による反応を見て、

・どの歯が原因なのか

・歯の神経が生きているのか死んでいるか

が分かります。

 

 

歯髄検査をする理由

 

主な理由は、

・原因歯を正確に見つけるため

・その原因歯に最も適した治療法を選択するため

です。

 

 

患者様は「下の奥から2番目の歯が痛い」など、

ご自身で部位を訴えて来院されることがよくあります。

 

患者様の訴えはもちろん参考しますが、100%合っているとは限りません。

ときには上下を間違えて訴えられることもあるので(関連痛といいます)、

時間をかけて問診した後に、必ず歯髄検査を行います。

 

また、神経が生きているか死んでいるかによって、治療法が変わります。

もし神経の感染が軽度なら部分的に神経を残せるかもしれません。

 

 

歯髄検査の大切さを痛感した症例

 

ここで歯髄検査の大切さを痛感した症例をご紹介したいと思います。

 

少し長くなりますが、お付き合いいただければと思います。

 

50代男性 主訴「3日前に、右下奥歯がじっとしててもズキズキした痛みがあった」。

 

「じっとしててもズキズキ痛い」は歯の神経を抜かないといけない主なサインの一つです。

 

レントゲン写真では右下7の大きい虫歯に目がいきます。

 

 

歯髄検査をしていなければ、

 

『虫歯の大きさから、右下7が今回の痛みの原因だろう』と考え、

 

麻酔が効いてるうちに足早に右下7の神経を全部抜いていたかもしれません。

 

危険でした。

 

 

治療前に歯髄検査を行った結果、

右下5、7、は冷たい刺激電気の刺激に正常反応で、

右下6は冷たい刺激電気の刺激、ともに反応がありませんでした

 

以上から右下6の神経は死んでいると判断しました。

 

 

右下7は大きな虫歯がありますが、

神経は健康なので虫歯の部分だけ削って、その後に詰め物すれば

治療を完了させることができます。

 

 

右下6の神経が死んでしまった原因として、レントゲン写真から見える被せ物の隙間の虫歯から

 

神経へとじわりじわりと感染が進み、結果、神経が死んでしまったと考えらえます。

 

 

レントゲン写真だけで、ある程度の原因歯の特定は可能かもしれません。

 

しかし、正確に原因歯を特定するためには歯髄検査は必須です。

 

間違って違う歯の神経を抜いてしまったら、もう取り返しはつきません。

 

 

このとき、私は患者様に以下のように説明しました。

 

 

「じっとしててもズキズキする痛みと、歯髄検査で反応がないこと、レントゲン写真で被せ物の隙間に

 

 虫歯らしきものがあることから、今回の痛みの原因は右下6の可能性が高いです。

 

 右下7も大きな虫歯があるので可能性もゼロではありませんが、まずは右下6から治療を行います。

 

 右下6の治療が終わったら、速やかに右下7の治療も行いますのでご安心ください。」

 

 

 

右下6の根の治療を開始しました。

 

やはり被せ物の下に虫歯があり、歯の中の神経は死んでいました。

 

根管の中を殺菌洗浄し、中にお薬をつめました。

右下6の根の治療

・通院回数は2回

・治療期間は2週間

・治療費用は126,500円(税込)。自費診療。

 

 

右下6治療後に、右下7の虫歯治療を開始。

 

右下7の虫歯は深かったですが、歯髄まで到達していなく、

 

虫歯を除去後レジン充填にて裏層し、インレー修復を行いました。

 

 

このレントゲン写真は3ヶ月後の経過観察時のものです(右下6には仮歯が入っています)。

 

右下6はその後痛みなどなく、また根の先の透過像(黒い影)の縮小が確認できます。

 

経過良好です。

 

右下7も痛みなどの症状はありません。無事、神経を残せました。

 

 

 

最後に

 

 

歯髄検査は一本の歯だけ行うのでなく、まずは原因と思われる部位の反対側の歯から行います。

 

そして原因と思われる歯の隣の歯、最後に原因と思われる歯を試験します。

 

一回の検査で約10本ほどの歯に試験を行うので、歯髄検査は意外と時間を要します。

 

 

 

 

当院では治療前に以下の検査項目を入念に行います。

 

・問診

・歯周ポケット検査

歯髄検査

・打診

・歯肉の触診

・歯の動揺度

・レントゲン撮影

 

これらの項目のしっかり順序立てて行うことで、

 

・どの歯が原因か

・なぜそのような状態になったのか

・なぜその治療法を選択したのか

 

が明確になります。

 

 

 

正確な診断を導くための一環となる歯髄検査のお話でした。

 

 

 

 

 

院長 白瀬 浩太郎

 

 

 

〜 科学的根拠(エビデンス)に基づいた世界標準の根管治療を 〜

「歯の痛み、歯茎の張れ、深い虫歯、神経を残す治療、神経を抜く治療、根の治療 、

膿の袋の治療、歯根嚢胞の治療、歯の移植」等でお困りの方は【しらせデンタルクリニック】まで

お問い合わせください。