2021年5月12日
根の治療の「成功」と「失敗」
こんにちは、【しらせデンタルクリニック】院長の白瀬浩太郎です。
今回は根の治療の「成功」と「失敗」について書きたいと思います。
そもそも根の治療(根管治療)の成功の定義とは何でしょうか?
それは、※根尖性歯周炎(根の先の病変)の「予防」と「治癒」です。
※歯根の中の細菌が原因で起こる、根尖周囲の炎症のこと。根尖膿瘍や歯根のう胞などもこれに該当します。
・根尖性歯周炎を発症させないための「予防」→ 生活歯髄保存療法、抜髄
・すでに起きている根尖性歯周炎を「治癒」させる→ 感染根管治療、再根管治療、外科的歯内療法
この定義から、根の治療を成功と判定する重要な指標があります。
① 臨床症状(歯の痛み、咬合痛、圧痛、腫脹、sinus tractなど)がない。
② X線写真で根尖部透過像の縮小がみられる。
※Friedman S, et al. J Calif Dent Assoc. 2004.
この二つが成立して、歯内療法は成功したと言えます。
特に、「※1 根尖部の透過像(黒い影)」と「※2 sinus tract(サイナストラクト)」は
客観的に判断しやすい指標と言えます。
※1 根尖部の炎症により周囲の骨が吸収されて「膿瘍(のうよう)」になると黒い影として映ります。
「膿瘍」は骨と違い、ミネラルをほとんど含まないため、レントゲン上で黒く見えます。
※2 歯根の先に溜まった膿が歯肉の外に出る、その通り道のこと。歯肉に白くプチッとニキビみたいにでてくる。
通常、根管治療が奏功していれば術後3ヶ月もすると、
X線写真にて根尖部透過像の縮小傾向がみられます。(当院のHPの症例紹介を参考)
長期間経過をみても透過像の大きさに変化がなかったり、
もしくは以前より大きくなっていれば治癒不全(失敗)の可能性が高いです。
また、sinus tractに関しては、術後1週間以内に速やかに消失することがほとんどです。
1ヶ月待っても消えなかったり、一度消えたのがまた出てきた場合は
同じく治癒不全である可能性が高いと言えます。
院長 白瀬 浩太郎
〜 科学的根拠(エビデンス)に基づいた世界標準の根管治療を 〜
「歯の痛み、歯茎の張れ、深い虫歯、神経を残す治療、神経を抜く治療、根の治療 、
膿の袋の治療、歯根嚢胞の治療、歯の移植」等でお困りの方は【しらせデンタルクリニック】まで
お問い合わせください。