2021年11月3日
隔壁形成
【しらせデンタルクリニック】院長の白瀬浩太郎です。
今回のコラムのテーマは「隔壁形成(かくへきけいせい)」です。
隔壁形成とは簡潔に言うと歯の補強です。
虫歯が大きく神経を抜かないといけない歯は、天然歯質は多く残っていません。
ラバーダム防湿をかける上で、クランプという器具を歯にかける必要がありますが、
歯質が少ないと、しっかりと適合させることができないのです。
そこで、大切な下準備があります。
「隔壁形成」です。
目次
① 隔壁形成の手順
② 隔壁の利点
③ まとめ
① 隔壁形成の手順
再根管治療の一般的な流れに沿って、隔壁形成の手順を説明したいと思います。
ラバーダム防湿の完了。
② 隔壁の利点
<歯質の少ない歯に確実にラバーダム防湿ができる>
歯質が少ない歯にもラバーダム防湿ができるようになるのは、隔壁形成を行う最大の利点
です。
ラバーダム防湿を行う利点については、当院のホームページの「根管治療について」の
1・無菌的処置の徹底をご覧ください。
<仮封の厚みが確保できる>
仮封(かふう)とは、治療期間中に入れる仮の蓋のこといいます。治療後、中が空いた
状態で患者様にお帰りになっていただくわけにはいけません。
緊密に仮封して次回の治療日まで外来からの細菌感染を防ぎます。
仮封には水硬性セメントが推奨されています。
細菌の侵入がないように、※ある一定の厚み(4mm)が必要です。
※Curt W. Beach, et al.Clinical Evaluation of Bacterial Leakage of Endodontic Temporary Filling Materials. JOE:22:1996:459-462
隔壁形成を行うことで仮封に必要な厚みを確保できます。
参考症例
③ まとめ
隔壁形成は時間を要する処置で、約15〜20分かかります。
※浅井らの調査では、隔壁が必要な歯に「毎回必ず隔壁を行う一般歯科医師」は34.8%で
あったと報告されています。
(※歯内療法におけるラバーダム防湿に関する調査-2019-2020- . JEA, 2021.)
隔壁形成を行うことで何か保険点数に加点されることはありません。
虫歯で重要な歯の隔壁形成は時間がかかるため、保険診療内だと採算が合わず、
ラバーダム防湿を断念している歯科医は多いかと思います。
当院では保険診療の枠を超えて、隔壁が必要な方には、マイクロスコープで入念に虫歯が
ないか確認した後、時間をかけて精密に隔壁形成を行うことをお約束します。
院長 白瀬 浩太郎
〜 科学的根拠(エビデンス)に基づいた世界標準の根管治療を 〜
「歯の痛み、歯茎の張れ、深い虫歯、神経を残す治療、神経を抜く治療、根の治療 、
膿の袋の治療、歯根嚢胞の治療、歯の移植」等でお困りの方は
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