2021年10月23日
術後の歯の痛み
「歯の神経を抜いたのにまだ痛い、、」
「神経がないのだから痛くならないはず、、」
神経を抜く治療が終わった後もに痛みがあると不安になりますよね
今回はそのような疑問にお答えしようと思います
目次
① なぜ神経を抜いた後も歯が痛いときがあるのか
② 痛みを発症させないために
③ まとめ
① なぜ神経を抜いた後も痛いときがあるのか
<治療の刺激によって根尖周囲の組織が炎症を起こしている>
治療の刺激によって治療後、一時的に歯が痛く感じることがあります。
治療の刺激として、根管壁の削りカスが根の先の穴(根尖孔)から出たり、
根管内の薬液洗浄よって同じく根尖孔から薬液が少し出ることが挙げられます。
これらの刺激によって根尖周囲の組織に炎症が起き痛みを感じます。
<取り残した神経がある>
取り残した神経があれば術後も痛みを感じることがあります。
第一大臼歯は見つけにくい根管があるため、隠れた根管に気付いていない場合は痛みを
感じることがあります。
<根管内の細菌を十分に減らせていない>
根の治療では、感染した神経を抜くだけでなく、根管内に侵入した細菌も減らすことも
重要です。根管内の細菌を十分に減らせていないと、時間とともに細菌が増殖し、根尖で
炎症が起こり、痛みを感じます。
② 痛みを発症させないためには
<根尖孔から削りカスや薬液などが出ないように注意する>
削りカスが根の先で貯まらないように根管内に薬液を満たした状態で、また治療器具
(ファイル)が根の先から出ないように、きちんと根尖までの長さを計測した上で、
根管拡大することが大切です。
画像引用元
Boutsioukis et al. Evaluation of irrigant flow in the root canal using different needle types by an unsteady computational fluid dynamics model. J Endod, 2010 May;36(5):875-9
根の先から薬液が出ないように、洗浄針を先が閉じていてるタイプを選ぶことがありま
す。針の横から薬液が出るので、誤って強く押し出しても根の先の方へ水圧がかかるのを
防ぎます。とくに上顎洞や下歯槽管に根の先が近い場合は、偶発的なリスクを考慮し、
より積極的にこのタイプの洗浄針を選択します。
<マイクロスコープを用いる>
マイクロスコープを用いて、根管内の探索を行うことによって、感染物の取り残しを防ぐ
効果が高まります。
<無菌的環境下で拡大洗浄をする>
治療時は術者の指が患者様の舌や頬に触れないように、また歯に唾液が混入したりしない
ように、無菌的環境下で行うことが重要です。
③ まとめ
たとえ十分に根の治療が行えていても、術後に一時的な痛みが出ることはあります。
ただし、あくまで一時的であり、※2〜3日以内におさまることがほとんどです。
※Jaclyn G, Pak BS, White SN. Pain prevalence and severity before, during, and after root canal treatment: A systematic review. J Endod. 2011;37(4):429-438. (ラバーダム防湿下で専門医が根管拡大、洗浄、貼薬を行った場合のデータ)
術後痛みが出た場合は、鎮痛剤を服用していただくことによって対処しています。
もし、2週間以上続く痛みや、治療した歯の歯肉が大きく腫れたりするようでであれば、
精査が必要かもしれません。一度主治医の先生へご相談された方がいいでしょう。
院長 白瀬 浩太郎
〜 科学的根拠(エビデンス)に基づいた世界標準の根管治療を 〜
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